ユーロ/円相場は、10月30日に一時1ユーロ=135.46円まで値位置を切り上げるも、その後は133円台前半まで急反落する展開になっている。ユーロ圏のインフレリスクが大幅に低下する中、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測が浮上していることが、短期筋にユーロ買い・円売りポジションの手仕舞いを迫っている。
10月31日に発表された10月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)は前年同月比+0.7%となり、約4年ぶりの低い伸び率に留まった。ECBが目安とする+2.0%を若干下回る水準とのかい離が大きくなっており、ECBがディスインフレを抑制するために、追加金融緩和に踏み切るとの観測が浮上している。エネルギー価格が-1.7%と急落していることで、一時的な要因の影響が大きいものの、これで9ヶ月連続でインフレ率はECBの目安を下回っており、マーケットでは追加の政策対応に対する警戒感が強くなっている。しかも、9月失業率は12.2%と高止まりしており、少なくとも引き締め的な政策スタンスを採用することは一段と難しくなっている。11月7日の次回ECB理事会で追加緩和が決定される可能性は低いものの、このままインフレ環境に変化がなければ12月にも追加利下げが実施される可能性が浮上した形であり、ユーロを取り巻く環境はやや悪化している。
ドル/円相場が膠着感を強める中、クロス円の観点からは大きく仕掛けることが困難な状勢になっている。ユーロ圏の実体経済が回復傾向にある中、引き続きユーロ/円の堅調地合は続くとみている。ただ、9月CPIをきっかけにユーロ圏の金融政策見通しが大きな修整を迫られていることは、ユーロの上昇余地を限定しよう。
テクニカルでは、一目均衡表の転換線(134.04円)、基準線(133.33円)を下抜き、雲上限(132.65円)でのサポートを試す展開に。同水準を割り込むと、雲下限(131.46円)が次の支持線に。サイコロジカルは、前週の9勝3敗から8勝4敗に。14日RSIは48.16。